生命大躍進

先日上京した折、国立科学博物館の特別展を見に行ってきた。
特別展が目的で科学博物館に行くこともあるが、今回は『久々に上京したので久々に科博に行ってみるか』程度の軽い気持ちで訪れた。今夏に開催されている特別展のタイトルは『生命大躍進〜脊椎動物のたどった道〜』。『脊椎動物の〜』とある割にポスターを見るとアノマロカリスの絵が描いてあったり、「おいおい、それは脊椎動物じゃないだろう」とツッコミを入れたくなるような状態で、真剣に内容に興味があるというよりは、チャカしに行ったのが本当だったかも知れない。

実は自分自身は理系の割に恐竜とか三葉虫などの古代生物とかあまり興味がなかったため、入場するまでワクワクなどしていなかった。強いてあげれば、先日買った「鳥類学者〜」の本が頭の片隅にあり、何か知識的につながるものがでてきるかなぁ、程度の思い出入場した。

入ってみると

途中、生物が目の機能を獲得した話あたりから急速に内容が面白くなってきた。分子生物学的な視点での解説が増えてきたからだ。今日の動物の目の中で光センサーとして機能しているロドプシンは、元々植物が持っていたDNAを何らかの理由で動物が自分自身のDNA内に獲得したと説明されていたのだ。『!』そういう解釈があるのか、と驚いた。まぁ、ミトコンドリアもほかの生物を取り込んだものだと言われているし、原始生物か他者の機能を取り込んで進化してきたのも頷ける。
このほか、ある時期から生物の持つDNA(染色体?)の数が4倍になり、余ったDNAに今までになかった余計な機能を持たせることによって、生物はどんどん高機能になっていったというような説明もなされていた。単純にDNAの数というか染色体の数で生物の持つ機能の豊富さは決定できないが、最低限の生命維持に必要なDNA以外に、様々なタンパク質やらなんやらを作り出すDNAをもてるなら、少ないよりは様々なことができるようになるだろう。
DNAの数が単純に生物の高等・下等を定めている訳ではない、というのは、ファミコンがわずかな記憶容量しかなかったけど、内容で勝負してすごく面白いゲームがあった反面、CD−ROMで無駄に背景に力はいったり、動画使ってたけどクソゲーがあったのに近い、と言ったところだろうか。

今までの自分は恐竜/古代生物に対して『結局すべて推定でしょ?本当の色も解らないんでしょ?』ってイメージがあって、あまり興味なかったのに、分子生物学的/化学的な説明を聞いて非常に興味を持つようになったと言う点でこの展示会は非常に有意義なものになりました。
この時点では前述の「鳥類学者〜」の本は読了していなかったのだけど、この特別展によって再び読み通すモチベーションも出てきました。さらに科博の特別展では展示に合わせて解説本も制作されているので、それを買おうかと思いましたが、この展示会の元となったNHKの番組をまとめた本が非常に読みやすく、特別展のために作られた本より自分の嗜好にあったため、そちらを購入。奇しくも、今夏恐竜に関する本を2冊読むことになってしまいました。

NHKスペシャル 生命大躍進 (教養・文化シリーズ)

NHKスペシャル 生命大躍進 (教養・文化シリーズ)